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徳島地方裁判所 平成7年(行ウ)8号 判決 1998年3月20日

徳島市飯谷町西分三一の一

原告

富銅勉

右訴訟代理人弁護士

林伸豪

川真田正憲

徳島市幸町三丁目五四番地

送達場所

徳島市徳島町城内六番地六 徳島地方法務局訟務部門

被告

徳島税務署長 白川清之

右指定代理人

前田幸子

平賀孝男

片岡博司

中村司

播磨憲

近藤康文

改田典裕

川村勲

和泉康夫

大喜多山治

主文

一  原告の請求をいずれも棄却する

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第一請求

被告が、原告に対し、平成五年三月二日付けでした次の各処分をいずれも取り消す(なお、原告は、右処分のうち、別表1記載の「審査請求」欄の金額を超える部分の取消しを求めているものと善解する。)。

一  原告の平成元年ないし平成三年分の所得税の各更正処分とこれに伴う過少申告加算税の各賦課決定処分(ただし、平成三年分については、審査裁決よりに一部取り消された後のもの。)

二  昭和六四年一月一日から平成元年一二月三一日までの課税期間(以下「平成元年期分」という。)の消費税更正処分

三  平成二年一月一日から同年一二月三一日までの課税期間(以下「平成二年期分」という。)及び平成三年一月一日から同年一二月三一日までの課税期間(以下「平成三年期分」という。)の消費税の各更正処分とこれに伴う過少申告加算税の各賦課決定処分(ただし、審査裁決により一部取り消された後のもの。)

第二事案の概要

本件は、ガソリンスタンドを営む原告が、平成元年ないし平成三年分(以下「本件係争各年分」という。)の所得税と平成元年期ないし平成三年期分(以下「本件係争各年期分」という。)の消費税について確定申告をしたところ、被告が、反面調査によって把握した原告の取引金額を基に、いわゆる同業者比率法を用いて原告の総所得金額を推計するなどした上、右所得税・消費税の各更正処分及び各過少申告加算税賦課決定処分(以下「本件各処分」という。)を行ったのに対し、原告が被告の右各処分は推計の必要性・合理性を欠いているほか、右消費税については仕入税額等の控除をしていない点で違法があるなどとして、その取消しを求めた抗告訴訟の事案である。

(争いのない事実)

一  原告はガソリン等の供給・販売を業としてガソリンスタンドを営む個人のいわゆる白色申告者である。

二  原告の、本件係争各年分の所得税、本件係争各年期分の消費税についての確定申告、更正処分等、異議申立て、異議決定、審査請求、裁決の経緯は、別表1記載のとおりである。

(本件各処分において算出された金額に関する被告の主張)

一  所得税の更正処分について

1 事業所得

(一) 平均売上原価率及び平均所得率

総収入金額に占める売上原価の平均値(以下「平均売上原価率」という。)を求めると、別表3の「事業所得の金額の計算」の各欄のとおり、次の金額となる。

平成元年分 八五・〇五パーセント

平成二年分 八四・六二パーセント

平成三年分 八三・二二パーセント

また、総収入金額に占める青色申告特典控除額控除前の所得金額の割合の平均値(以下「平均所得率」という。)を求めると、別表3の「事業所得の金額の計算」の「平均所得率」欄記載のとおり、次の金額となる。

平成元年分 八・七四パーセント

平成二年分 九・六二パーセント

平成三年分 九・七二パーセント

(二) 総収入金額(売上金額)

各年分の総収入金額は、次項(三)の売上原価の額を前項(一)の平均売上原価率で除して算定した金額であり、別表3の「被告認定額」欄の記載のとおり、次の金額となる。

平成元年分 六五二一万七七四九円

平成二年分 六五五一万六四八九円

平成三年分 八二八二万七一二八円

(三) 売上原価の額

原告の本件係争各年分の売上原価の額(仕入金額)は、別表4の「仕入金額の内訳」に記載したとおり、被告が把握し得た原告の営むガソリンスタンドに係る本件係争各年分の仕入金額の合計金額であり、次の金額となる。

平成元年分 五五四六万七六九六円

平成二年分 五五四四万〇〇五三円

平成三年分 六八九二万八七三六円

なお、被告は、本件係争各年分の売上原価の額の算定に当たり、各年分の年初及び年末の棚卸金額を同額として各年分の売上原価の額としているところ、これは、原告の事業内容及び規模等からみて、各年分の年初及び年末の棚卸金額に著しい変動があるとは認められないことから同額としたものである。

(四) 事業所得の金額

本件係争各年分の事業所得の金額は、前項(二)の総収入金額に前項(一)の平均所得率を乗して算定すると、別表3の「事業所得の金額の計算」の「被告認定額」欄の「事業所得の金額」欄に記載したとおり、次の金額となる。

平成元年分 五七〇万〇〇三一円

平成二年分 六三〇万二六八六円

平成三年分 八〇五万〇七九六円

2 所得控除の額

本件係争各年分の所得控除の額については、別表5「課税される所得金額の計算」の「所得控除の合計額」欄に記載のとおり、次の金額となる。

平成元年分 二九七万四〇〇〇円

平成二年分 二九八万七〇〇〇円

平成三年分 三〇九万八〇〇〇円

3 課税総所得金額

以上の結果、本件係争各年分の課税総所得金額を算定すると、別表5「課税される所得金額の計算」の「課税総所得金額」欄に記載したとおり、次の金額となる(国税通則法一一八条一項により千円未満の端数は切り捨てている。)。

平成元年分 二七二万六〇〇〇円

平成二年分 三三一万五〇〇〇円

平成三年分 四九五万二〇〇〇円

そうすると、原告の本件係争各年分の課税総所得金額は、いずれも更正処分に係る課税総所得金額(ただし、平成三年分については、審査裁決により一部取り消された後のもの。)を下回らないから、これらの更正処分は適法である。

二  所得税の過少申告加算税の賦課決定処分について

各更正処分により納付すべき税額の計算の基礎となった事実が更正処分前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて、国税通則法六五条四項に規定する正当な理由があるとは認められないことから、平成元年分及び同二年分については同条一項に基づいて、平成三年分については同条一項及び二項に基づいて過少申告加算税の額をそれぞれ算定すると、いずれも賦課決定処分に係る金額(ただし、平成三年分については、審査裁決により一部取り消された後のもの。)を下回らないから各年分の過少申告加算税の各賦課決定処分はそれぞれ適法である。

三  消費税の更正処分について

1 課税標準額

原告の本件係争各年分の課税標準額は、原告の本件係争各年分の事業所得に係る総収入金額(課税資産の譲渡等の税込対価の額)に一〇三分の一〇〇を乗じて算定した金額(千円未満の端数を切り捨てた金額)であり、別表6「消費税の課税標準額及び納付すべき税額の計算」の「課税標準額」欄のとおりである。

なお、平成元年期分については、平成元年四月一日以降の資産の譲渡等のみが課税対象となるところ、原告にあっては、総収入金額は推計の方法により算定せざるを得ず、また、各月の総収入金額に、各月間で著しい差を認めることはできないから、平成元年分の事業所得に係る総収入金額を平成元年の月数一二で除し、これに平成元年四月一日から同年一二月三一日までの期間の月数九を乗じた額を、課税試算の譲渡等の税込対価の額(別表6の「課税資産の譲渡等の税込対価の額」欄に記載のとおりである。)とした。

2 課税標準額に対する消費税額

本件係争各年期分の課税標準額に対する消費税学は、前項の課税標準額に一〇〇分の三を乗じて算定すると、別表6のとおり、次の金額となる。

平成元年分 一四二万四六四〇円

平成二年分 一九〇万八二四〇円

平成三年分 二四一万二四二〇円

3 納付すべき税額

以上の結果、本件係争各年期分の納付すべき税額を算定すると、別表6の「納付すべき税額」欄に記載のとおり、次の金額となる。(国税通則法一一条一項により、百円未満の端数は切り捨てている。)。

平成元年分 一四二万四六〇〇円

平成二年分 一九〇万八二〇〇円

平成三年分 二四一万二四〇〇円

そうすると、原告の本件係争各年期分の納付すべき税額は、更正処分に係る納付すべき税額(ただし、平成二年期分、平成三年期分については、審査裁決により一部取り消された後のもの。)を下回らないから、これらの更正処分は適法である。

四  消費税の過少申告加算税の賦課決定処分について

原告の本件係争各年期分の過少申告加算税の基礎となる税額は、前項3のとおりであるが、この納付すべき税額の計算の基礎となった事実が更正処分前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて、国税通則法六五条四項に規定する正当な理由があるとは認められないから、同条一項及び二項に基づいて過少申告加算税をそれぞれ算定すると、いずれも賦課決定処分に係る金額(ただし、審査裁決により一部取り消された後のもの。)を下回らないから、平成二年期分及び平成三年期分の過少申告加算税の各賦課決定処分はいずれも適法である。

(争点と当事者の主張)

一  推計課税の必要性について

1 被告の主張

所得金額を実額計算の方法により算定するためには、原告自らが原処分庁の調査に応じ帳簿書類等を提示して収入及び支出の内容を明らかにすることが必要であるところ、原告は、本件調査に際し、被告の調査担当職員が本係争各年分の所得税調査のため、平成四年四月一四日以降七回にわたって原告の事務所に臨場し、再三にわたって各年分の事業所得の金額の計算の基礎となる帳簿書類等を提示するよう求めたのにこれに応じず、また、調査担当職員の質問に対して各年分の確定申告額を正当とする具体的な説明もしないで調査に協力しなかった。

このような状況で、被告は、原告の各年分の事業所得の金額を実額計算方法により把握することは不可能であると判断し、やむを得ず、原告の取引先等に対する調査によって把握した取引金額を基礎として原告の本件係争各年分の所得金額を推計し、本件所得税の更正処分等を行うとともに、各年分の事業所得の総収入金額(平成元年分については総収入金額に一二分の九を乗じた金額)をもって、各年期分の課税資産の譲渡等の税込対価の額と認定し、それらを基に各年期分の課税標準額を算定したものである。

原告は、取引先等への調査について、自己の取引先に対する信用が著しく低下し、営業上重大な支障が生じ得る旨主張する。しかし、所得税法二三四条に基づく質問検査の範囲、程度、時期、場所等実定法上特段の定めのない実施の細目については、質問検査の必要があり、かつ、これと相手方の私的利益との衡量において社会通念上相当な限度にとどまる限り、権限ある税務職員の合理的な選択に委ねられており、また、取引先の調査等のいわゆる反面調査は質問検査の一態様であり、反面調査についても同様に解される。本件の被告係官による取引先等への調査は必要不可欠であり、かつ、社会通念上相当限度にとどまるものであった。

2 原告の主張

原告は被告側の質問・調査に対して誠実に対応しており、調査を拒否した事実はない。数字的な面についても原告のなし得る範囲で回答した。

被告が主張する原告の不誠実な対応なるものの中心は、結局、帳簿を開示しなかったということであろうが、売掛台帳は別として他に被告の求めるような帳簿を原告はもともと作成していなかったのであるから、これをもって不誠実というのは、不可能を強いることに等しい。

被告は仕入れについての伝票を見せなかったなどともいうが、仕入先を開示すれば、そこへの照会によって正確な数字を把握できるのであるから、整理の悪い原告の伝票箱をかき集めるよりはるかに効率的であって、特段非難されるような性質のものではない。

なお、被告側は二回目の来訪時には既に原告の取引先の徳島石油及び取引銀行である四国銀行小松支店に対して立入調査をしていたが、かかる立入調査が行われると、原告の取引先に対する信用が著しく低下し、営業上重大な支障が生じるものであり、被告の態度は最初から強権的で一方的なものであった。

二  推計課税の合理性について

1 被告の主張

(一) 推計課税は、直接的な資料によらず、間接的な資料を用いて課税標準たる所得金額を認定する課税方法であり、推計の方法は真実の所得額に近似した数値を算出し得る合理的なものでなければならない。

本件においては、推計の方法として、同業者率による推計を選択したのであるが、同業者率による推計は、当該納税者と同一業種で、業態、規模、立地条件等において個別的類似性の認められる同業者を抽出して、その所得率、差益率、経費率等の平均値を算出した上、この平均比率を課税庁が把握した当該納税者の収入金額、仕入金額に当てはめることにより、当該納税者の所得を推計する方法であり、この方法は、右のような同業者については収入金額、経費額等につき同様の比率で所得を得ると考えられる点で、実際の所得に近似した数値を算出し得るものとして合理性を有するのである。

ところで、一般に、同業者の選定に当たっては、業種・業態の同一性、事業所の近接性、事業規模の近似性、抽出対象が青色申告者等の正確な資料に基づいて申告されたものであること、当該申告について異議申立て等係争中でないことなどの要件が確保されていることが必要であるところ、本件における同業者については、<1>徳島税務署管内に事業所を有し、<2>原告と同業種の者で、<3>その年分の売上原価の額が原告のそれの〇・五倍以上二倍以内(いわゆる倍半基準)であるなど事業規模の類似する事業を営む青色申告者四件(以下「類似同業者」という。)を選定した(別表2)。

なお、類似同業者の平均値により推計する場合には、原告と同種業態及び事業規模等が類似する同業者を選定した結果、類似同業者官の売上原価率又は所得率に開差があったとしても相当数の同業者の平均値を算出することによって、それぞれの同業者の個別性が平均化され、一般的に推計の合理性があるというべきである。

(二) 原告は、給油所経営実態報告集計結果(甲五)を根拠に、被告が主張する平均所得率は法外なものである旨主張する。しかし、同集計結果は、<1>帳簿書類の備付け、記録及び保存が義務付けられていて信用性が担保されている青色申告者の決算額だけではなく、原告のように取引実態額に基づかない白色申告者の決算額も含まれている、<2>決算期の中途での開廃業等特殊事情のある者の決算額も含まれている、<3>事業規模において原告と近似性を有しない者の決算額も含まれているなどの可能性が多分にあり、原告の所得金額の算定において合理的な根拠とはなり得ない。

原告は本人尋問において、売掛台帳(甲二ないし四)を根拠に、石油製品市況推移(甲六)の平均的な店頭価格より安値で販売している旨供述する。しかし、右売掛台帳の信憑性を基礎付ける原始記録(請求書、領収書等)の保存がなく、現金売りに関する記録もないことから、原告が本件係争各年分において売上げた商品の単価を確認できない以上、右売掛台帳がすべての取引について売買価格等を正確に記帳したものであるとはいえず、右供述をそのまま信用することはできない。

2 原告の主張

別表2は管内の青色申告者四業者の平均率を前提とするが、最も肝心の所得率でさえわずか四業者間において著しく格差があり、これを平均すれば原告に当てはまるなどという性格のものではない。

そもそも、被告の行った立証活動は、匿名の四業者を選定しその数字が業者調査票のとおりであるというだけであって、住所・氏名を含め四業者なる者が本当に存在するのかどうか、その示す数値が誤りのないものなのかどうか、その示す数値が誤りのないものなのかどうか、当該業者が被告のいうとおりの類似条件を備えているかどうかなどの点について被告の主張を裏付ける証拠は存在しない。

原告のような経営規模の給油業者のうちで青色申告を行っている者は、数ある業者の中でも極めて経営状態が良好の例外的な優良業者と考えられ、片田舎で兼業的に細々と経営している原告とは比較にならず、右四業者と経営規模等において類似しているとしても、立地条件が全く異なる。

本件当時は全般的にみても給油業界は不況であり、利益に乏しく、欠損を生じている業者も少なくない。被告の主張ではかなりの利益・所得があることを当然の前提としているが、著しく実態に反している。給油所経営実態報告集計結果(甲五)に照らして、被告の主張に係る一部青色業者の平均率は法外なものであって、このような数値をもって課税するのは論外である。被告は右報告集計結果の数値には白色申告者や倒産業者も入っているので参考にならないというが、少なくとも、右報告集計結果の数値によって、被告主張に係る数値が全体的な実態から相違していることを明白に把握し得るものである。

原告の給油所におけるガソリン、軽油、灯油の売買価格は売掛台帳(甲二ないし四)に記載のとおりであり、右価格は石油製品市況推移(甲六)の数値ともほぼ一致するもので十分に客観性を有するものであって、被告の主張に係る売上原価率、所得率はあり得ず、原告の申告額が正しいことは明らかである。

三  軽油引取税不控除の適法性について

1 被告の主張

(一) 個別消費税の取扱い

消費税法二八条一項によれば、課税資産の譲渡等に係る消費税の課税標準は、課税資産の譲渡等の対価の額とされており、また、右対価の額は、対価として収受し又は収受すべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額とし、課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税に相当する額を含まないものとされている。

(二) 軽油引取税の取扱い

軽油取引税については、地方税法七〇〇条の二第一項三号に規定する特約業者(以下「特約店等」という。)においては、その特約店等が軽油引取税を納税義務者から徴収して地方公共団体に納付しているのであるから、軽油取引税は原則として課税資産の譲渡等の対価の額に含まれない。

一方、特約店等に該当しないガソリンスタンド等の石油製品販売業者(以下「販売店」という。)は、軽油取引税の納税義務者であり同税を徴収する者ではないから、軽油取引税相当額を価格に上乗せして顧客から対価を受領しているとしても、当該軽油引取税相当額は軽油引取税自体ではなく、右対価の受領は同税の徴収ではないから、販売店において軽油引取税相当額が課税資産の譲渡等の対価の額から除かれることはなく、課税資産の譲渡等の対価の額に含まなければならないこととなる。

したがって、被告が消費税法二八条一項を適用して課税標準の算定を行ったことには、何ら違法な点はない。

2 原告の主張

争う。課税標準額の算定に当たっては、軽油引取税を控除すべきである。

四  仕入税額不控除の適法性について

1 被告の主張

消費税法三〇条七項によれば、同条一項の規定は、事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除にかかる帳簿等を保存しない場合には、災害その他やむを得ない事情により、当該保存をすることができなかったことを当該事業者において証明した場合を除き、当該保存がない課税仕入れ又は課税貨物に係る課税仕入れ等の税額については適用しないこととされている。

また、消費税法施行令五〇条一項によれば、同法三〇条一項の適用を受けようとする事業者は、同条七項に規定する帳簿等を整理し、帳簿についてはその閉鎖の日の属する課税期間の末日の翌日から、請求書等についてはその受領した日の属する課税期間の末日の翌日から、それぞれ二月を経過した日より七年間、これを納税地又はその取引に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地に保存しなければならないこととされている。

これらの規定内容を併せ考えると、帳簿等の保存年限が商法では一〇年とされているのに対して、消費税法では税務当局において課税権限を行使し得る最長の年限である七年とされていること、また、その保存場所も納税地に限られていることなどからみて、消費税法三〇条七項が帳簿等の保存がなければ原則として同条一項を適用しないとしているのは、適法な税務調査がなされる際には当然に保存されている帳簿等が提示され、これに基づいて課税仕入れ等に係る消費税額が算出され得ることを予定し、このような確実な資料が保存されていない場合には仕入税額を控除しないこととする、という趣旨であるものと解される。

そうすると、消費税法三〇条七項にいう帳簿等の保存とは、ただ単に帳簿等が事業者の支配下に存在するということのみをいうのではなく、適法な税務調査に際し税務職員からその提示・閲覧を求められたときには、正当な事由がない限りこれに応じ、当該職員において、これを「確認し得る状態に置く」べきことも含み、かつ、これを七年間継続しなければならないと解すべきである。

以上から、仕入税額控除は、仕入税額控除に係る帳簿等の保存があるものについて適用されるところ、本件では、調査担当職員が、原告に対して、再三にわたり、仕入税額控除に係る帳簿等の保存がなければ仕入税額控除は認められない旨を教示してその帳簿等の提示を求めたにもかかわらず、原告は何ら正当な事由がないのにこれに応じなかったことが認められるから、消費税法三〇条七項に規定する帳簿等を保存していなかったというべきであって、同条一項の仕入税額控除を適用することはできない。

なお、右のとおり、仕入税額控除については、帳簿等の保存がない場合には適用されないと解する以上、たとえ、原告が、各年期分の諸費税の確定申告書に仕入税額控除の額を記載していたとしても、この点は結論に影響しない。

さらに、前述したとおり、事業者が仕入税額控除の適用を受けるためには、法廷申告期限を経過した日から七年間、適法な税部調査に際し、税務職員から仕入税額控除に係る帳簿等の提示を求められたときには「これに応じ帳簿等を当該職員が確認し得る状態に置く」べきことも含め、その「保存を継続しなければならない」ところ、原告は、本件調査に際して、徳島石油の得意先元帳等を含めた仕入税額控除に係る帳簿等を調査担当職員に一切提示しなかったのであるから、既にその時点において、帳簿等の保存を継続していないと認めざるを得ない。したがって、仮に原告が、本件調査後に仕入税額控除の基礎となる徳島石油の得意先元帳等の写しを提出したとしても、原処分がさかのぼって違法となり、原告が仕入税額控除の適用を受けられると解することはできない。

2 原告の主張

争う。

第三争点に対する判断

一  争点一(推計の必要性)について

1  証拠(甲一、乙一、証人坂口徳哉、弁論の全趣旨)によれば、以下の事実が認められ、これに反する原告の供述部分は、終始あいまいでたやすく信用することができない。

(一) 被告は、原告の本件係争年分の所得税及び消費税について申告内容を確認する必要があったので、坂口徳哉国税調査官(以下「坂口調査官」という。)に原告の所得税及び消費税の調査を命じた。

(二) 坂口調査官は、平成四年四月七日ころ、原告に、電話で、本件調査のため原告事業所に臨場する旨を連絡し、あらかじめ日取りの打合せをした上で、右一四日午前一〇時ころ、原告事業所に臨場し、まず、原告に対し、身分証明書を提示し、申告内容の確認に来た旨述べた上、申告の基礎となった帳簿書類や原始記録等を見せてほしい旨求めた。

これに対し、原告は、「税務署のやり方はわかっておる。仕入先である徳島石油へ行ったら全部わかるから、行って見てきてくれ。」、「タイヤについてはブリジストンで仕入れている。」と答えて、帳簿書類等の提出をしなかった。

その後、原告が、配達に行く旨述べて席を立ったので、坂口調査官は、平成四年五月八日に臨場する旨伝えて原告事業所を辞去した。

(三) 坂口調査官は、平成四年四月二〇日から徳島石油株式会社等に対し反面調査を行うこととし、本件係争各年分の取引金額等の確認調査を実施した。

(四) 坂口調査官は、平成四年五月八日午前一〇時ころ、本件調査のため原告事業所に臨場し、原告に対し、帳簿の記載状況について質問し、帳簿書類等の提出を求めたが、原告が、タイヤは弟の営業するもので自分とは関係ないなどと答え、また、帳簿書類等の提出を拒んだため、原告事業所を辞去した。

(五) 坂口調査官は、原告に電話で事前に連絡をした上で、平成四年五月一三日午前一〇時ころ、本件調査のため原告事業所に臨場し、原告に対し帳簿書類等を提示するよう説得したが、原告が「時間がないから、帰ってくれ。」と言って席を立ち、車に乗って出かけてしまったため、やむなく原告事業所を出て帰署した。

(六) 坂口調査官は、原告に電話で事前に連絡を入れた上で、平成四年六月一七日午前一〇時ころ、本件調査のため、原告事業所に臨場し、帳簿書類等の提示を促した上、帳簿書類等の確認ができない場合には正確な所得金額算定ができないこと及び消費税の仕入税額控除ができない旨を伝え、さらに、同業者率の準備もした上修正申告を推奨したが、原告は、これには応じず、「時間がないので帰ってくれ。」と言って席を立ち、車に乗って出かけてしまったため、原告事業所を辞去した。

(七) 坂口調査官は、平成四年六月一九日、鈴木統括官と共に原告の事業所に臨場する日時につき原告の都合を確認するため電話をしたが、原告は時間がとれないと述べて電話を切った。

(八) 坂口調査官は、原告に事前に臨場日時の都合を確認していたのでは原告の協力が得られず、調査が進行しなことから、原告に電話等で事前に連絡を取らず、平成四年六月二三日午前一〇時ころ、統括官と共に原告事業所に臨場した。しかし、原告は不在であったため、原告事業所にいた原告の妻に同日午前一一時ころに再度臨場する旨を告げ、いったん原告事業所を辞去した。

坂口調査官は、統括官と共に、平成四年六月二三日午前一一時ころ再度原告事業所に臨場して、原告に面接し、原告に対し、申告の基礎となった帳簿書類等を確認させてほしい旨、確認できないと推計課税をせざるを得ない旨を伝え、修正申告を推奨したが、原告は、申告金額に間違いはないから修正申告をする意思はないこと、更正してもらってかまわない旨を答えただけで、それ以上に具体的な説明はなく、帳簿書類等の提示にも応じなかった。

(九) 坂口調査官は、平成四年六月二九日、原告から修正申告をする旨の電話連絡を受けたので、本件係争各年分の修正申告用紙と収支内訳書用紙を原告に郵送した。

(一〇) 平成四年七月二日、原告から、確定申告の際に未提出だった平成三年分の収支内訳書のみが郵送されたが、その収支内訳書の事業所得の金額は、当初確定申告していた事業所得金額と同額であった。

(一一) 坂口調査官は、平成四年八月二四日、原告に対し、修正申告書の送付の件で問合せの電話をしたところ、原告は、「以前、送り返したはずや。」、「前、送り返したやつで駄目なんだったら、更正してくれ。」などと答えた。

(一二) 坂口調査官は、事前に電話で臨場日時の約束を取った上、平成四年九月八日午前一〇時ころ、原告の事業所に臨場したが、原告は不在であり原告の妻しかいなかった。坂口調査官は、原告の妻に行き先を尋ねたが、はっきりしなかったため、原告事業所を辞去した。

坂口調査官が徳島税務署に帰ると、同署個人課税部門の担当者から、原告から約束の時間に来なかったとの抗議の電話があった旨の伝言を受けた。そこで、坂口調査官は、すぐに原告事業所に電話をし、原告に対し、翌日の九日に原告事業所に臨場することを伝えた。

(一三) 坂口調査官は、平成四年九月九日午前一〇時ころ、原告事業所に臨場し、原告に対し、昨日は間違いなく約束の時間に臨場したが原告が不在であった旨を説明した上、再度修正申告を推奨したが、原告は応じなかった。

(一四) 坂口調査官は、平成五年二月二六日、原告事業所に電話をし、原告に対し、再度修正申告を推奨したが、原告は、「前に送ったやつでは駄目なのか。」と答えた。坂口調査官は、以前送付されたのは三年分の収支内訳書にすぎない旨説明したが、原告は、「申告には間違いはないので、いつでも更正決定してくれ。」と答え、応じようとしなかった。

(一五) その後、所得税、消費税の更正処分等に至るまでの間、原告からの連絡は一切なかった。

2  右の認定事実によると、原告は坂口調査官らの再三にわたる調査協力の説得にもかかわらず本件調査に協力しなかったということができるから、被告は、やむを得ず、平成五年三月二日付けで、本件係争各年分の所得税については、同業者による推計課税の方法による各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分を行い、本件係争各年期分の消費税については、消費税法三〇条七項を適用して仕入税額控除を認めない各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分を行ったというべきである。

原告は、被告の求めるような帳簿書類をもともと作成していなかったのであるから、提示に応じることは不可能であり、不誠実な対応とはいえないし、仕入先を開示すれば照会によって正確な数字を把握できるのであるから、伝票をみせなかったことが特段非難されるべきではない旨主張する。しかし、原告は、坂口調査官の、確定申告額の算出の基礎となった書類があるかどうかという質問にさえ応じようとしなかったのであるから、本件調査に非協力的であったことは明らかであり、また、真実帳簿書類を作成していないということであれば、資料を備え付けていなかった場合に該当し、推計の必要性を肯定するに妨げとなるものではない。さらに、坂口調査官は伝票を直接原告より入手できなかったため仕入先への調査を余儀なくされたのであるから、原告の態度が非協力的であったことはこれまた明らかというべきである。

以上によれば、原告の本件係争各年分の所得税及び本件係争各年期分の消費税の算定については、推計の必要があったものと認められる。

二  争点二(推計の合理性)について

1  証拠(甲一、乙二ないし四、証人脇正己)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。

(一) 高松国税局長は、原告の事業所の所在地を管轄する被告にあてて一般通達を発し、左記に基づき、同業者調査表を作成し提出するよう求めた。

(1) 作成対象年分

平成元年分、平成二年分及び平成三年分

(2) 作成対象者

右(1)の作成対象各年分において、次のいずれにも該当するすべての者

<1> 青色申告書により所得税の確定申告書を提出していること。

<2> ガソリンスタンドを営んでいること。

<3> 事業所得の計算上、右<2>以外の業種目を兼業していないこと。

<4> 事業所が徳島税務署の管内にあること。

<5> 年間を通じて事業を継続して営んでいること。

<6> 売上原価が、平成元年分二七六四万四〇〇〇円以上一億一〇五七万六〇〇〇円未満、同二年分二七五九万八〇〇〇円以上一億一〇三九万四〇〇〇円未満、同三年分三四三二万円以上一億三七二八万三〇〇〇円未満であること。

<7> 従業員数が二名程度であること。

<8> 対象年分の所得税について、不服申立て又は訴訟が継続中でないこと。

(3) 作成要領

右(2)の作成対象者の所得税青色申告決算書(以下「決算書」という。)に基づき、左記による作成する。ただし、調査を行った者については、調査額による。

<1> 「納税者名」欄には、それぞれ、A、B、Cというように表示する。

<2> 「総収入金額」欄には、決算書の「売上(収入)金額(雑収入を含む)」欄に記載されている金額を記載する。

<3> 「売上原価」欄には、決算書の「売上原価」欄に記載されている金額を記載する。

<4> 「特前所得金額」欄には、決算書の「差額金額」欄に記載されている金額(青色申告控除等青色申告による特典の控除前の金額)を記載する。

<5> 各金額は、消費税込みの金額かどうかについて、各同業者ごとに記載すること。

(二) 被告は、脇正己国税調査官(以下「脇調査官」という。)に対し、右通達に基づいて同業者調査表を作成するよう指示した。脇調査官は、右通達の作成対象年分につき、同作成対象者欄のいずれの事項にも該当する者として四名の同業者を抽出し、同作成要領に基づき、同業者調査表を作成し(右同業者についての総収入金額、売上原価、特前所得金額等は別表2のとおりである。)、被告において、右通達に対する回答書を高松国税局長あてに送付した。

(三) 被告は、別表3・4のとおり、売上原価の額(仕入金額)を右(二)の同業者の平均売上原価率で除して得た総収入金額に、右(二)の同業者の平均所得率を乗じて得た額を原告の事業所得の金額として算出した。

2  ところで、推計の基礎事実や統計資料等が得られにくい事例において、実額課税の場合と同程度の合理性又は立証の程度を要求することはできないし、仮に右の基礎事実や統計資料等を得ることができる事例についても、税務署長に多くの時間と労力をかけて推計の基礎事実や当該納税者に極めて類似する同業者等を探し出すよう要求することは、実額課税の代替手段として推計課税を認めた所得税法一五六条の趣旨に反することとなる。したがって、税務署長が入手し又は容易に入手し得る推計の基礎事実及び統計資料等に照らし、税務署長が採用した推計方法が一応最良の方法と認められ、かつ、当該納税者の所得につき近似値を求め得ると認められる程度のものでありさえすれば、その推計方法は合理性を有するといわなければならない。

このような観点から右1の認定事実に基づき検討すると、同業者の抽出基準は、業種の同一性、事業所の近接性、事業規模の近似性等の点で同業者の類似性を判別する要件として合理的なものである。そして、その抽出作業について徳島税務署長の恣意の入り込む余地は認められず、抽出された同業者はいわゆる青色申告者であるから金額の正確性が担保されている上、その申告が確定しており信頼性も高い。右同業者数も四名であって、個々の事業者の所得率のばらつきを平準化するに足りるものである。

そうすると、被告が本件において採用した推計方法は合理性を有するものと認められる。

3(一)  原告は、選定された四業者は実在するのか、その示された数値は正しいものなのかなどにつき裏付けとなる証拠が存在しない旨主張する。

しかし、抽出された同業者の住所・氏名等を開示するのは守秘義務(所得税法二四三条、消費税法六九条)との関係で問題がある上、同業者の抽出方法の無作為性やその資料の正確性等については、前掲証拠によって立証されたというべきであるから、右主張は理由がない。

(二)  原告は、抽出された同業者との間には立地条件等に差異があり、類似性がなく、右同業者の平均率が実態に著しく反していることは証拠(甲二ないし五)からも裏付けられる旨主張する。

しかし、推計による所得金額の算出においては、その性質上、同業者との間に通常存在する程度の営業条件等の差異は同業者率の平準化の過程で平均値の中に吸収されるから、当該平均値による推計自体を不合理ならしめる程度に顕著な事情を原告において立証しない限り、合理性が認められ、原告の個別的な事情は斟酌する必要がないというべきである。してみると、原告の主張を根拠付けるとされる前記証拠は、被告が指摘するとおりその証拠価値に疑問がある上、その他本件全証拠によっても、同業者率の平準化の過程で捨象されない顕著な事情があるとは認められないことから、右主張は採用できない。

三  争点三(軽油引取税不控除の適法性)について

原告は、被告が軽油税を控除せずに課税標準額を算定したのは違法である旨主張するので、この点を検討するに、証拠(甲一、乙一、証人坂口徳哉、弁論の全趣旨)によれば、原告は地方税法七〇〇条の二第一項三号に規定する地方公共団体から指定される特約店等(軽油引取税を納税義務者から徴収し地方公共団体に納付する者)ではなく販売店に該当すること、被告は原告の軽油引取税についての取引内容の確認を行うために、原告に対して再三にわたり課税標準額の計算に必要な帳簿書類等の提示を求めたが、原告からは何ら正当な理由がないまま帳簿書類等の提示がなかったことから、取引内容の確認等を行うことができなかったこと、そこで、被告は消費税法二八条一項に基づき、原告における課税資産の譲渡等の税込み対価の額を、軽油引取税相当額を含む顧客への売却価格等の総額すなわち総収入金額とみてこれに課税を行ったことがそれぞれ認められる。

しかして、特約店等においては、その特約店等が軽油引取税を納税義務者から徴収して地方公共団体に納付しているのであるから、軽油引取税は原則として課税資産の譲渡等の対価の額に含まれないが、販売店は、軽油引取税の納税義務者であり同税を徴収する者ではないため、軽油引取税相当額を価格に上乗せして顧客から対価を受領しているとしても、当該軽油引取税相当額は軽油引取税自体ではなく、右対価の受領が同税の徴収とはいえないので、販売店において軽油引取税相当額が課税資産の譲渡等の対価の額から除かれることはなく、課税資産の譲渡等の対価の額に含まなければならないことは、被告主張のとおりであって、本件において、原告は販売店に該当するので、軽油の売却価格に軽油引取税を上乗せして顧客から徴収したとしても、その徴収した軽油引取税相当額は軽油引取税自体ではなく、当該軽油引取税相当額を課税資産の譲渡等の対価の額から除く理由はないこととなる。したがって、被告がこのような事実に基づいて消費税法二八条一項を適用して課税標準の算定を行ったことには、何ら違法な点はなく、原告の軽油引取税に関する主張は採用できない。

四  争点四(仕入税額不控除の適法性)について

原告は、被告が仕入税額を控除せずに課税標準額を算定したのは違法である旨主張するので、この点を検討するに、消費税法三〇条七項の「保存しない場合」には、単に帳簿書類等が事業者の支配下に存在しない場合ばかりではなく適法な税務調査に際し税務職員からその提示・閲覧を求められたときに正当な理由なくこれに応じない場合も含まれると解するのが相当であるところ、前認定のとおり、坂口調査官が、原告に対して、再三にわたり、仕入税額控除に係る帳簿書類等の提示を求めたにもかかわらず、原告は何ら正当な事由がないのにこれに応じなかったことが認められる。そうすると、本件は帳簿書類等を保存しない場合」に該当するというべきであるから、消費税法三〇条一項による仕入税額控除を適用することができず、この点に関する原告の主張は採用しない。

第四結論

一  以上検討したところによると

1  原告の所得税に係る本件係争各年分の課税総所得金額および消費税に係る本件係争各年期分の課税標準額は、いずれも本件の各更正処分における課税総所得金額(ただし、平成三年分については、審査裁決により一部取り消された後のもの。)及び課税標準額(ただし、平成二年期分、平成三年期分については、審査裁決により一部取り消された後のもの。)を下回るものではないから、これらの更正処分はいずれも適法である。

2  右各更正処分により納付すべき税額の計算の基礎となった事実が、更正処分前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて、国税通則法六五条四項に規定する正当な理由があるとは認められないので、同条一項及び二項に基づいて過少申告加算税の額をそれぞれ算定すると、いずれも賦課決定処分に係る金額(ただし、所得税の平成三年分並びに消費税の平成二年期分及び同三年期分については、審査裁決により一部取り消された後のもの。)を下回るものではないから、本件の過少申告加算税の各賦課決定処分はいずれも適法である。

二  よって、原告の請求はいずれも理由がないから、主文のとおり判決する。

(弁論終結日 平成一〇年二月一三日)

(裁判長裁判官 松本久 裁判官 大西嘉彦 裁判官 本間敏広)

別表1

課税等経過表

<省略>

別表2

類似同業者の平均売上原価率・平均所得率表

<省略>

別表3

事業所得の金額の計算

<省略>

別表4

仕入金額の内訳

<省略>

別表5

課税される所得金額の計算

<省略>

別表6

消費税の課税標準額及び納付すべき税額の計算

<省略>

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